まち日記(旅と仕事と日々ごはん_時々走り)

ダイアリーから移行しました

重松清『ビタミンF』(新潮社2003)


文庫になったのを見つけて、とてもいい、と、同年代の優しい心の持ち主の男性がずいぶん以前に言っていたのを思い出して早速買った。


私と同年代のオトコが主人公で、年代が作り出す共感のようなものが期待できそうなオビだったので期待していたが、読んでがかーりした。たぶん、私ら夫婦には子供がいないので、子供とを含んだ家族の絆のせつなさというものにまるで反応できないというそういうことだったのだろうなとは思うが。子供の成長も、自分の社会における立場も、しまいこんだ昔の恋愛もすべていっしょくたに、自分のコントロールの及ばないものとしてあきらめているような、もうがんばれませーん、けどそんなボクちゃん一生懸命のつもり、みたいな、社会に甘えた中年サラリーマンを見ているようで、あたしゃぁ正直ぐったりしたね。あまりに、あまりに典型的な日本の中年オトコそのもの。子供は別の人格だし、恋愛だって相手あってのことだからそりゃぁ思い通りにはならないさ、でも、自分の社会の中の立場なんて、もう少しどうにかなるだろうよ。こんなもんはせつなさじゃないよ、甘えだよ。