まち日記(旅と仕事と日々ごはん_時々走り)

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国家の品格

毀誉褒貶の多い本。『バカの壁』と同様に、講演録から起こした原稿が本になったものだから、読みやすいといえば読みやすくて、講演録なんだから当然、印象に残りやすい表現が多いし、論旨が一貫しない部分があることも織り込み済みで読まなくてはいけない。
この人の言いたいことはよくわかる。「論理」には限界がある、って、その通り。論理には必ず出発点があって、その出発点の置き方がダメだとその先の論理の進め方が「論理的」であったところで、導き出される結論はおかしなものにしかならざるを得ない、そりゃもうまったくその通り。
このオッサン、ずるいなぁ(笑)と思うのは、「論理の限界」をバーンと前面に押し出していることで、「アンタの言ってることは全然論理的じゃない」という反論に最初からバリアーを張っているところ。
また、ピンポイントで、「英語よりも国語力(こんな表現だったかどうかはちょっと怪しい)」とか「卑怯を教えよ」といったような、自分としては同意できるようなことを言っているあたり、必ずしも、「この国粋主義者!」という印象にはならないが、まぁでも、勝ち組負け組に対する彼の反感は、結局自分自身も、勝ち負けということにこだわっていて、しかも特に経済的な勝ち負けや学問的な勝ち負けにこだわっていることの裏返しなんだなぁなどとちょっと感じてしまった。だって人間、あらゆることで勝ち組な人や、あらゆることで負け組な人って、そんなにいないからねぇ。