まち日記(旅と仕事と日々ごはん_時々走り)

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蓮見圭一『水曜の朝、午前三時』

単行本の頃から、なんとなく気になっていたが、先日阿佐ヶ谷駅ビルの本屋に文庫本が平積みになっていたのを見つけて発作的に購入。物語への感情移入のしかたはいろいろだろうけれど、主人公である直美の性格ときたら、ドッキリするくらいに自分にそっくりで、私にそっくりな救いがたさを持つこの人の人生、結局どうだったんだろう、という思いで、すっぽりと物語にはまった。恋愛のてん末については、実は事前のネタバレなしで読んでいたのでまたドッキリ。不意をつかれた。そうきたか、と、本との出合いの妙にひとり驚くばかり。
寡作の作家のようだけど、ほかの小説も読んでみたくなった。このところ、自分的には読んだとたん放り投げたくなるような小説が多い中、久しぶりに相性のあう作品だった。静謐で残酷でシックで率直。年代が近いことも関係あるんだろうか、とか、思えば、私はなぜか主人公の年代の人から影響を受けることが多いな、なんていろんな思いにふけってしまった。