まち日記(旅と仕事と日々ごはん_時々走り)

ダイアリーから移行しました

光野桃「おしゃれの階段」

読書づいているときは、何かしら心穏やかでないときなのかもしれない。本に逃げ込んでいるというか。

おしゃれの階段 (新潮文庫)

おしゃれの階段 (新潮文庫)

で、光野桃だ。『おしゃれの階段』というのを読んでいる。正確には、すでに読み終わった。30代の頃、40代になったら着られるような服が世の中には売ってないなぁ、と思っていたような気がするけど、40代になってしまった今では、かなり環境が変わってきたように思う。光野桃が書いているような、オバサンぽくなくてシックな大人の女性の服、ってなんとなく見渡すと以前よりはあるような気がする。そういいつつ、結構スーツの下には彼女のいうようなボディではなくてユニクロのカットソーなんぞを着ていたりするんだけど、まぁそれはご愛嬌ということで。
彼女の文章、わかりやすくて、特にファッションや生活に関する表現はさすがに上手、というかちゃんとイメージが沸いてくるように書いているのはすごい。何気なく、奥付にある彼女の経歴を始めて見たのだけど、結局雑誌の編集部にも4年くらいしか在籍してないし、その後にダンナについていったイタリアにもせいぜい4年くらいいた程度なんだよね。それでも、今こうしていろんなものがちゃんと書けてしまうというのは、やっぱり体験時間よりも、もっと違うものが人の仕事すがたを作るということだろうな。その昔、韓国に若干長めに滞在していた友人が、ほんの6ヶ月、しかも日本と韓国をしょっちゅう行き来していた某作家が、その滞在6ヶ月を題材に滞在日記的な書き物を書かせてもらっていることを批判していたけども、やっぱ時間じゃないでしょ、何か、別のもんでしょ、そういう機会を得ていけるというのは。