まち日記(旅と仕事と日々ごはん_時々走り)

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人たらしの魅力

午後、オフィスに、某国から日本への留学を経て、自国で起業した若いリーダー君が訪ねてきた。少しミーティングにつきあったが、この男は立派な人たらしだなぁと感じ入った。

中国からの留学生が自国で起業する話は今や珍しくもない。私が知っている起業中国人の数なんて限られているが、少なくとも彼らは、自分の仕事ぶりがいかに信用に値し、競争力があり、人脈が豊富かを立て板に水のようにしゃべり、アピールしまくる。日本語がそこそこ流暢なのと、日本で大学院を出たとかいうのでついつい気を許して仕事を発注したりしてしまうが、いざ仕事を始めると最初の勢いはどこへやら、あれこれ理由をつけては、これはできないあれは無理と言い訳三昧が繰り広げられることもあんまり少なくはなくて、期待値を下げて発注したつもりでも、それでもがくっとくることがある。最近はだいぶ慣れたが、期待値は50%といったところだ。

さて、本日の彼は、どうなんだろう。少なくとも、あんまり難易度の高い仕事の話をしていたわけではないので、なんともいえないけれども、日本人でもそこまで緻密にローカルに仕事のやり方を教えないだろう、その、君が作ったというマニュアル、寝惚けた仕事のやり方を続けている日本人にも見せてやりたいよ、というほどにツボをおさえたものだった。
そして、彼はことばの選び方や、応対がものすごくうまい。それは、弁舌さわやかなのではなくて、あぁ、この人はがんばっているなぁ、応援してあげないとなぁ、そして、こうした見かけのわりには、結構しっかりしてるなぁ、と思わせる雰囲気と、うまーい発言が組み合わさって出てくる。
社長のパターンは必ずイケイケドンドン、ってものではないけど、人をひきつけたり、仕事出してみようかなぁ、もしトラブったときも誠実かもしれないなぁ、という感じを持たせることも社長をやる人の大事な能力だったりするのかなぁと思った。
彼はこの風貌と雰囲気で、以前勤務していた会社をやめる時にも、「これから自分で会社を興してがんばることにしましたので応援してください」と頼んで仕事をもらい、日本での同業他社を自分なりに全社洗い出して営業の電話をかけ、借り物ではない(と思われる)独自の考え方で会社の中の人員配置を決めたり、中国の人たちの経験に比べれば、自分たちの経験はまだ浅く、こんなところやこんなところは不十分ですが、3〜5年後を見据えると、おそらく肩を並べるほどになると思います、とか言ったりするのだ。
とてもさわやか。つい生意気な口をきく私には、とてもその姿勢が勉強になった。